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2012年10月2日

山口県民文化ホール シンフォニア岩国

私たちは、これまで地域や自治体という枠を超えて、地域住民と行政が一体となったアートプロジェクトを継続的に実施し、プロジェクトに関わった人たち、アートに出会った人々に精神(心)の高揚、また文化意識の変革と活性化を促進し、物質的なものとは異なる“心による地域(都市)づくり”の可能性を考える、としていくつかの取り組みをしてきました。このことはある意味で地域とアートを結びつける市民運動としての様相を呈し、芸術文化の問題のみならず新しい地域づくりの可能性を示唆するものとして注目されています。

このことは与えられたものを消費する文化とは異なり、「みる」「つくる」「ささえる」というプロジェクト体験を通して経験される生産的な活動そのものを喜びとする精神性を重視した取り組みであり、地域ぐるみのアート体験、あるいは新しい鑑賞スタイルとして、「生活と芸術」「過去と現在」「地域と人びと」をダイナミックに交流させ、私たちの現在を考える絶好の機会となりました。

今回は谷桃子バレエ団のプリマとして活躍してきた尾本安代、さらに世界各地で多彩な活動を続けている男性ダンサーの松本大樹をゲストに招き、新バージョンの作品『東京タンゴ』を紹介するものです。「ポワント条例」という理不尽な条例をめぐって村民たちがてんてこ舞いするという奇想天外な物語。ポワントを履いて踊るのはプリマ・バレリーナの登場で、物語はどのような展開をみせていくのか、それはお楽しみといったところ。

このフォーラムが現代社会の諸問題と私たちの意識について考えるとともに、これまでの価値観を相対的に捉えかえす眼差しと豊かな想像力をもって将来の「地域」「文化」「暮らし」について考える契機ともなれば幸いです。

岩国公演 総合ディレクター・原田文明

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